同期ベルトは、ベルトの歯とプーリーの溝が確実に噛み合うため、滑りの可能性なく高いトルクを伝達できます。しかし、同期ベルト駆動システムの性能は、取り付けミス、予期せぬ使用条件、あるいは動作要件に適さない部品の使用によって影響を受ける可能性があります。ここでは、同期ベルトが故障する6つの原因と、その最も一般的な原因について説明します。
【エッジウェア】
フランジ付きプーリーは、ベルトがプーリー上で左右に動こうとする際に発生する横方向の力に抵抗することで、同期ベルトの軌道を維持します。しかし、場合によっては、ベルトがフランジに沿って移動し、大きな力がかかることで、ベルトのエッジが摩耗することがあります。エッジ摩耗の一般的な原因は、平行度のずれ、選択したプーリーに対して幅が広すぎるベルトの使用、または損傷したプーリーや表面仕上げが粗いプーリーの使用です。
【クラッキング】
ベルトの亀裂は通常、歯と平行に、歯と歯の間の部分(「ランド部」と呼ばれる)で発生します。亀裂は多くの場合、温度の問題に関連しています。起動時の温度が低すぎる場合や、運転中の温度が高すぎる場合、ベルトの材質が硬化し、曲げによって亀裂が発生します。ベルトの亀裂の他の原因としては、プーリーの斜め取り付けや化学物質への曝露が挙げられます。
【引張破断】
このタイプの故障は、通常、ベルトの圧着または強い衝撃荷重が原因です。圧着は、ベルトを横切る直線状の裂け目を引き起こすことが多く、ベルトの取り扱いミス、張力不足、プーリー径の小さすぎること、駆動システム内の異物などが原因で発生します。衝撃荷重は、ベルトを横切る斜めの裂け目を引き起こすことが多く、歯のせん断を伴うこともあります。
【歯の過度の摩耗】
歯の摩耗は、ベルトとプーリの確実な噛み合いによって生じる正常な現象であり、耐摩耗性に優れたベルト素材を使用することで軽減されます。しかし、過度の摩耗は、張力の過度または過小、ミスアライメント、過度の負荷、駆動システムへの異物の混入、プーリの損傷、あるいはプーリの規格外または硬度不足などによって発生する可能性があります。通常の運転条件下では、歯の摩耗は一般的にベルトの耐用年数に影響を与えません。
【歯切り】
歯のせん断は、衝撃荷重やミスアライメントによって引き起こされる致命的な故障です。また、張力不足によって歯がプーリーから外れてしまう「セルフテンション」と呼ばれる状態が発生することもあります。この状態になると、荷重は歯の根元ではなく、歯の側面のさらに下方まで伝わります。その結果、歯が曲がったり回転したりし、根元で破断したり、ベルトから外れたりする可能性があります。
【ラチェット】
ラチェッティングとは、ベルトがプーリーの歯を飛び越えたり、歯を飛ばしたりする現象です。ラチェッティングの主な原因は、ベルトの張力が不十分であることです。Vベルトと比較した場合、同期ベルトの利点の一つは、一度適切な張力に設定すれば、再調整が不要なことです。
同期ベルトの故障はさまざまな形で発生する可能性がありますが、プーリーの場合は一般に、歯の摩耗またはフランジの故障のいずれかで故障します。
プーリー歯の異常摩耗や過度の摩耗は、通常、摩耗性の高い環境での使用が原因です。ただし、プーリーの芯ずれ、過度の負荷、不適切な張力も原因となる場合があります。プーリーフランジの破損は、プーリーの角度ずれまたは平行ずれが原因であることが多いです。
投稿日時: 2019年4月22日